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ニューズレター(税務関連)

2005年11月
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移転価格調査の傾向と対策

税務調査からみた移転価格税制の現状

本稿は、「税務弘報」(2005年11月号/「特別企画 移転価格調査の傾向と対策」)より転載したものです。


はじめに

移転価格税制とは、企業グループ間の有形・無形の取引の価格即ち移転価格について、それが第三者間取引でも成立しうる合理的な独立企業間価格(Arms Length Price)であるのかについての判断基準を定めたものであり、実際の移転価格が不適正であるものとされた場合、あるべき適正な独立企業間価格との差額について課税がなされ、それによりその所得において取引の相手方であるグループ企業所在国との間での二重課税が発生することとなるものである。つまり、グループ企業が所在する各国の移転価格税制によって、一定の取引をめぐるグループ損益のグループ間配分そのものの適否が問われることとなるものである。

移転価格税制は80年代初頭よりまず米国においてその運用が強化され、我が国においても1986年に基本的法規が制定され、以来主要各国において法規整備が進められ、移転価格税制による課税ケースも増大しており、グループ間の国際取引を有する企業にとって、そのリスク管理・対策は国際税務上の主要課題のひとつとなってきている。

特に、国際化の進展に伴いグローバルな企業活動を益々活発化している日本企業にとって、日本を含む関係各国における移転価格税制による税務調査、課税のケースは増大しており、税務調査が長期化しかつまた課税金額も膨大なものとなりうることから、その対応・対策は企業リスク管理上極めて重要な課題である。

本稿ならびに後続する諸稿において、このような移転価格税制に如何に対応すべきか、そのリスクを最小化するためにどのような対策がなされるべきかについて論ずるが、特に本稿においては我が国を中心とする近年の移転価格税制と税務調査の傾向とその対策について概論してみたい。


I.我が国の移転価格税制・税務調査と近年の傾向

我が国の移転価格税制は前述の通り、1986年に基本的法規が制定され、以来通達を含め各種の法的整備が進められてきた。近年の特徴的傾向としては次のようなものがあげられる。

  • 残余利益分割法、取引単位営業利益法等いわゆる基本三法以外の方法論の明確化と容認。
  • 独立企業間価格レンジ概念の導入等、上の方法論とあわせ、他国の移転価格税制及びOECDガイドライン等国際基準との整合化の進展。
  • 役務提供、特にいわゆる本社機能に対する対価への注目。
  • 相互協議手続きや、事前確認制度等二重課税回避・解消手段のための制度の明確化と充実。

我が国の移転価格税務調査は通常、法人税調査とは別に移転価格の専門の調査官によって行われており、移転価格税制の成立後多くの調査事案、課税事案が発生している。図表1は、それらのうち、新聞等にて報道された事案である。

図表1

(単位:百万円)

年月

会社名

更正
所得額

更正
税額

対象取引

管轄 国税局

2005年6月

TDK

21,300

12,000

電子部品等

東京 国税局

2005年6月

ソニー

21,400

4,500

ロイヤリティ

東京 国税局

2005年5月

日本 金銭機械

3,400

1,600

紙幣識別機

大阪 国税局

2005年3月

京セラ

24,300

13,000

電子部品等

大阪 国税局

2004年6月

本田技研

25,400

13,000

ロイヤリティ等

東京国税局

2003年8月

太陽誘電

N / A

1,700

ロイヤリティ

東京国税局

2002年11月

ローランド

1,000

330

電子ピアノ

大阪国税局

2000年4月

コカコーラ
ジャパン

45,000

17,000

ロイヤリティ

東京国税局

1999年10月

ファイザー
製薬

4,500

2,700

金利

東京国税局

1999年2月

チバ ガイギ

8,000

3,300

医薬品

大阪国税局

1998年11月

ネスレ日本

1,500

700

ロイヤリティ

大阪国税局

1998年7月

曙ブレーキ

500

300

N / A

東京国税局

1998年7月

バクスター

15,000

6,000

医療機器

東京国税局

1998年7月

山之内製薬

54,100

24,200

ロイヤリティ

東京国税局

1998年7月

村田製作所

13,700

5,500

電気機器

大阪国税局

1997年9月

ジャーデン
ワインズ
アンド
スピリッツ

16,000

7,000

ワイン

東京国税局

1995年6月

日本ロシュ

14,000

6,000

化学薬品

東京国税局

1995年12月

シマノ

2,000

800

ロイヤリティ

大阪国税局

1994年11月

P&G

2,000

800

家庭用品

大阪国税局

1994年10月

ヘキスト
ジャパン

7,000

3,000

医薬品

東京国税局

1994年9月

日本
グッドイヤー

1,400

600

タイヤ

東京国税局

1994年4月

AIU保険

N / A

2,000

再保険料

東京国税局

1994年4月

チバ ガイギ

12,000

5,700

医薬品

大阪国税局

1994年3月

コカコーラ
ジャパン

38,000

15,000

ロイヤリティ

東京国税局

1993年3月

日本ロシュ

9,500

3,800

化学薬品

東京国税局

2004年国税庁事務年度における更正案件


また、国税庁により、図表2のように移転価格税制による更正所得金額が公表されている。

図表2

図表2

 

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