
2005年6月
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米国LLCの課税方法と活用方法
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本稿は、AZ Insight(2005.6 Vol.9)より転載したものです。
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本稿では、日本における会社法現代化の議論の1つであり、2006年に導入を予定している日本版LLCが参考としている米国LLCについて概説します。
I.はじめに
現在、法制審議会における会社法制の現代化の議論において、日本版LLC(Limited Liability Company:合同会社)の2006年導入や、経済産業省で税務を考慮したうえでの日本版LLP(Limited Liability Partnership:有限責任事業組合)の本年導入が考えられていますが、その先進国である米国のLLCに、どのような税務的運用面での融通性や利便性があるかを説明します。
II.LLCの普及の背景
米国において、LLCはここ数年急速に数を増やしており、近年では、一年間に新たに米国で設立される一般の法人とLLCの数が、ほぼ同じに迫る勢いと聞いています。税務上では、内国歳入庁(Internal Revenue Service、以下、IRS)がLLCをパートナーシップとして扱うことを個別通達により明らかにした1988年以降、非常に多く設立されています。
さらに、1997年には「チェック・ザ・ボックス規則」(法人の組織形態を選択する申告書上、該当箇所のボックスにチェックをすることから、このように呼ばれる)が導入され、LLCが急速に普及することとなりました。チェック・ザ・ボックス規則では、Form 8832という様式において、「私たちはこのLLCを法人として(またはパートナーシップとして)税務上扱ってもらうことを選択します」を選択して、IRSに提出します。届け出をしないと、複数の構成員がいる場合には自動的に連邦税務上パートナーシップとしての取扱いを受けます。本稿では原則として、税務上LLC をパートナーシップとして選択する、または選択を行わないことにより自動的にパートナーシップの取扱いになるという前提でご説明します。ただし実際には、税務上、「法人」であることを選択することも可能です。
LLCの設立州については、地元の企業同士がジョイント・ベンチャーを行うLLC、あるいは不動産賃貸業を行うようなLLCの場合には、地元の州のLLC法にもとづいてその州で設立されるのが一般的です。一方、国際的なジョイント・ベンチャーの場合、たとえば日本法人と米国法人がジョイント・ベンチャーでLLCを使おうというようなとき、LLC法の情報がインターネットなどでも公表されていて理解しやすいデラウェア州、ニューヨーク州等で設立される件数が多くなっているようです。
III.LLCの特徴
LLCでは、全構成員が有限責任を確保できるということに加えて、経営権の集中化や存在の継続性、持分譲渡の自由性という法人の特徴を備えることが州法によって可能となっています。その一方で、税務上は、先ほどのチェック・ザ・ボックス規則によってLLCの損益に関してパス・スルーとしての取扱いを選択することができるようになっています。
日本版LLCとしては、会社関連法規の見直し、会社法制の現代化で新たな日本版LLC、すなわち合同会社の創設が検討されていますが、産業界からは税務上はパス・スルー課税を認めてほしいという強い要望が出ています。米国でLLCがよく利用されるのは、法務的には有限責任ですが、税務上はパス・スルーとしてのパートナーシップの選択ができ、構成員のほうで損も取り込めるというようなメリットがあるからであり、日本もここまで踏み込んだことができるかどうか、逆に、そうでない場合にはどのような使い道があるのかを、これから考えていかなければならないと思われます。
また、2005年度から導入が予定されている民法上の制度、日本版LLPも、まだまだ米国LLCに比べて融通性の面で遅れているように思われます。たとえば、日本版LLPのパートナーが資産等を出資するときに簿価で移転することができるか、といった点をこれから確認していかなければならないと考えます。
次にLLCが一般の法人(米国版の株式会社)と異なる点ですが、たとえば、ある人は現金を出資し、別の人は資産を出資し、また別の人は役務を出資するというようなことがLLCでは可能です。法人の場合には出資した資産の時価に合わせて持分関係を決定することになりますが、LLCの場合には、出資とLLCで発生した損益の分配は必ずしも同一比率で行われる必要がありません。運営方法等も当事者間で自由に決定できる部分が多くなっています。
また、LLCの所有者、すなわち構成員(メンバー)が、ある個人1人だけ、あるいは1つの法人が100%所有するといった単独メンバーによるLLCの設立も、州によっては可能になっています。
IV.設立法上のパートナーシップとLLCとの比較
LLCは税務上パートナーシップの取扱いを受けることができますが、設立法上はLLCのほうはすべての出資者の責任が有限となります。一方、ゼネラル・パートナーシップはすべてのパートナーが無限責任を負わなければならず、またリミテッド・パートナーシップは1人以上のゼネラル・パートナーが必要で、当該ゼネラル・パートナーが無限責任を負わなければならないとされています。
また、LLCはパートナーシップと比較すると、経営形態における自由度が大きいというメリットも考えられます。LLCの経営形態は、実務上は大きく3つほどのケースに分けられ、事業の内容や規模によって決めます。
(1) |
LLCに出資し、構成員となった人が日常業務を含むすべての業務をそのまま行うというケース |
(2) |
構成員が経営担当者またはマネジャーに業務を委ね、当該マネジャー等が単独で業務を遂行するというケース |
(3) |
一般的な会社の取締役会に相当するようなマネジメント・コミッティ(経営委員会)を設立し、普通の会社の役員に当たるような役員も任命し、ある事項については役員の合意で決める。重要事項については構成員全員で決定するというようなケース |
リミテッド・パートナーシップの場合には、あるリミテッド・パートナーが経営参加すると、当該リミテッド・パートナーは無限責任を負わなければならなくなる可能性が考えられますが、LLCの場合には、州法にもよるでしょうが、そのような問題は起こらないというメリットが考えられます。また、上述のとおりマネジャーを任命して経営に当たらせることにより、所有と経営を分離することが可能となります。
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