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ニューズレター(税務関連)

2005年4月
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M&A戦略と税務上の諸問題

※本稿は、「税経通信」(2005年5月号/「特集 企業の合併・買収戦略と諸問題」)より転載したものです。



はじめに

M&A、事業再編、事業再生に関する税制もここ数年においてある程度整備されてきた一方、まだ実務的にはその取扱いについて判断に迷うようなケースや思いがけぬことで課税問題が発生してしまうケースが多々見受けられる。また、現在議論されている会社法制の現代化についても、今後、税制がどこまで手当てされるかについても注目される。今回は、税務上、現在において問題となっているケースと今後において問題となるであろうケースのいくつかについて検証することとする。なお、文中意見にあたる部分は私見であることをお断りしておく。


想定される諸問題の検証

(1)

三角合併により被合併法人の株主に対して外国会社株式が交付された場合若しくは外国会社株式に替えて現金が交付された場合の被合併法人における税務適格性及び被合併法人の株主における課税問題


会社法制の現代化により、外国企業が本邦企業を買収する方法として、現金による株式買収に加えて、外国企業の日本子会社にその外国企業の株式を交付し、その日本子会社と本邦企業を合併させ、本邦企業の株主にその外国企業の株式を交付する方法(いわゆる三角合併)が可能となる見込みである(しかしながら、その後の動向により、合併法人株式以外の資産の交付については1年間解禁が先送りされる見込みである)。

現行税制上、合併に際し合併法人の株式以外の資産を交付した場合には、税務適格要件の一つである金銭等不交付要件に抵触し、被合併法人となる本邦企業において譲渡損益課税の問題が、買収される本邦企業の株主においてみなし配当課税及び譲渡損益課税の問題が発生する。商法改正に伴い、買収される本邦企業及びその株主に課税問題が発生しないように税制が手当てされるか、今後の動向が注目される。

また、会社法上、本邦企業の株主に外国企業の株式を交付することに替えて金銭を交付することも検討されているようである。

現行税制上、この場合もやはり金銭等不交付要件に抵触するため、同様に被合併法人となる本邦企業において譲渡損益課税の問題が、買収される本邦企業の株主においてみなし配当課税及び譲渡損益課税の問題が発生する。現行税制上の考え方として、株式交換・移転の場合を除き、一部でも金銭交付があった場合には、全体が課税取引として取り扱われる考え方となっているため、今後、株式交換・移転の場合のように、一定の比率までの金銭交付が税務適格要件に抵触しないように改正されるか注目される。

(2)

本邦企業間における現金交付合併、現金交付会社分割、現金交付株式交換の場合の被合併法人、分割法人における税務適格性及び被合併法人、分割法人、完全子会社の株主における課税問題


会社法制の現代化により、本邦企業間における合併、会社分割、株式交換の場合において、被合併法人の株主、分割法人ないし分割法人の株主、完全子会社の株主に対して、合併法人、分割承継法人、完全親会社の株式の交付に替えて、金銭等を交付することが可能となる見込みである(しかしながら、その後の動向により、金銭交付については1年間解禁が先送りされる見込みである)。

現行税制上、金銭等不交付要件に抵触するため、被合併法人、分割法人において譲渡損益課税の問題が、被合併法人、分割法人、完全子会社(株式交換の場合、移転交付金が5%を超える場合に限る)の株主においてみなし配当課税、譲渡損益課税の問題が発生する。今後、一定の比率までの金銭交付が税務適格要件に抵触しないように改正されるか注目される。

(3)

分割型分割において、交付する株式に種類株式が含まれる場合の税務適格性の問題


分割型分割の税務適格要件の一つに按分型分割であること(承継法人の株式が分割法人の株主の有する分割法人の株式数の割合に応じて交付されること)があるが、交付する株式の種類についてその取扱いが明確になっていない。昨今の商法改正により様々な形態の種類株式の発行が可能となり、普通株式の価値と種類株式の価値が必ずしも等価とは限らないにもかかわらず、現行税制の規定上は、分割法人の株主に対して、一部の株主には普通株式を、その他の一部の株主には種類株式を交付しても、分割法人の出資割合に応じた株数を交付している限りは、按分型要件には抵触しない。他方、普通株式の価値と種類株式の価値が等価でないことを基準にして、普通株式を交付する株主と種類株式を交付する株主との相対的な出資比率が分割法人に対する出資比率と異なる場合には、非按分型分割として取り扱われ、按分型要件に抵触する。今後、種類株式の発行が増加するものと思われるため、この点に関する税務上の取扱いについて整理が望まれる。

(4)

50%を有する株主グループが存在しない上場会社の分割型分割による税務適格性の問題


50%超を有する株主グループが存在しない会社が分割型新設分割を行う場合、税務上非適格分割として取り扱われ、分割法人における譲渡益課税の問題及び分割法人株主におけるみなし配当課税の問題が発生する。

この問題を回避するために、50%超の株式を分割法人に交付し、残りの株式を分割法人の株主に交付する折衷型分割を行うなどの対策が取られているが、今後においても事業再生の手法として分割型分割のニーズは強いと思われるため、一定の要件を満たす場合には税務適格分割として取り扱われるようになることが望まれる。

(5)

負ののれんに関する税務上の取扱いの問題


昨今のM&Aにおいて、事業価値の算定はDCF法やEBITDA倍率方式により行われることが一般的になっているため、これらの方式により算定した金額が、買収する事業に係る資産負債の時価合計額(時価純資産の額)に満たないことが生じる場合、すなわち、負ののれんが生じる場合がある。

例えば、DCF方式により算定した事業価値100に基づいて、営業譲受による買収対価が第三者間において支払われる場合において、譲渡対象資産負債の積み上げによる時価合計額が150である場合、50の負ののれんが発生する。

第三者間で合意した譲渡価額であるため、低廉譲渡として取り扱うことは合理的ではなく、負債として計上する規定もないことから、実務的には、一定の合理的な基準により営業譲受資産の取得価額から控除する処理を行っているものと思われる。

しかしながら、恣意性を排除するために、負ののれんが発生する場合の取扱いについて、今後、ある程度の指針が示されることが望まれる。

(6)

私的整理における資産評価損の問題


平成17年度税制改正により、民事再生法、会社更生法に基づく企業再生だけでなく、私的整理ガイドラインに基づく企業再生、RCCを活用した企業再生、中小企業再生支援協議会が関与する企業再生等についても、一定の資産についての資産評価損失の計上が可能となる予定である。しかしながら、世の中の多くの企業再生がこれらに基づかないものであることから、第三者である債権者が合理的な基準により債権放棄を行う場合など一定の要件を満たす場合には、同様に一定資産の評価損計上が認められるようになることが望まれる。

(7)

法的整理及び私的整理における債権の資産評価損の問題


上記(6)において記載した再生方法による場合においても、売掛債権、貸付金債権、保証金敷金債権(以下、金銭債権)については評価損の計上が認められていない。よって、金銭債権を多く有している会社において無税による貸倒引当金ないし貸倒損失の計上が難しい場合、債務免除益が資産の評価損失、青色繰越欠損金、期限切れ繰越欠損金の合計額を超え、債務免除益課税が発生してしまうケースが見受けられる。ゆえに、金銭債権についても貸倒引当金ないし貸倒損失の無税基準とは異なる一定の基準により評価損が認められるようになることが望まれる。

 

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