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ニューズレター(税務関係)

2004年8月
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日本法人が米国法人から配当、利子、使用料を受け取るにあたり

日米新租税条約の特典を受けるための米国税務上の手続き

本稿は、「国際税務」(2004.8 Vol.24/「総力特集 日米新租税条約・適用届出実務パーフェクトガイド」)より転載したものです。


I.はじめに

昨年(2003年)11月7日(日本時間)、日米新租税条約がワシントンDCで署名され、本年(2004年)3月30日、東京においてその批准書の交換が行われた。その結果、この日をもって日米新租税条約は発効し、米国においては、

(1)

源泉徴収される租税に関しては、2004年7月1日以後に支払われまたは貸記される額

(2)

その他の租税に関しては、2005年1月1日以後に開始する各課税年度の所得

について適用されることになった。ただし、納税者の選択により、当該日米新租税条約の適用を1年間延長することができる。

一方、米国内国歳入庁(IRS)は、当該日米新租税条約の改正以前において2001年1月1日以後に支払われる米国源泉対象所得に対する源泉税に関する報告義務の改正をしている。その内容は、以下のいずれかに該当する外国法人はIRSに対する報告義務が生じるというものである。

(1)

ある条件のもと直接・間接に関連する米国法人等から外国法人が受取った源泉徴収表(Form 1042S)に誤りがある場合

(2)

米国との租税条約の中に条約の特典制限条項がある国の法人でその特典制限条項を満たし、かつ、その米国関連会社(50%超の所有権)から一課税年度中に受けた米国源泉対象所得(配当・利子・ロイヤルティ等)が50万ドルを超えており、その所得に対する源泉税の免除・軽減税率の適用を受けた場合

(3)

外国法人が一課税年度に受けた米国源泉対象所得(配当・利子・ロイヤルティ等)の総額が1万ドルを超え、かつ、特別な追加要件をもとに追加の源泉税の免除または軽減が行われている場合(1万ドル以下の場合の報告義務免除については、Notice 2001−43において明示されていたが、財務省規則301.6114−1(b)(4)(ii)(D)では削除されている)

そのため、日米新租税条約が適用されることにより、米国税務上、報告義務の規則に変更があるのではなく、その報告義務の適用範囲に変更が生じることに注意を必要とする。その結果、今まで報告義務のなかった日本法人による報告義務の発生、また、その報告範囲の拡大が生じることになる。

以下、日米新租税条約の特典を受けるための適格居住者となるための定義、当該報告義務に係る日米新租税条約の改正による影響、及び、報告の方法について説明する。以下は日本法人(個人ではない)に対しての影響について説明していることに留意されたい。なお、本稿の目的は、日本法人に対して、米国法人から配当、利子、使用料を受取るにあたり日米新租税条約の特典を受けるために必要となると考えられる米国税務上の一連の手続きについて、その概略を紹介するというものであり、下記は現段階でIRS等により公表されており我々に入手可能な情報を基にしている。現在引き続き最新情報の入手・確認に努めている最中であるが、読者の方々も、実務の前には適宜、専門家に詳細の確認をされたい。


II.特典制限条項において定義されている適格居住者

日米新租税条約の適用を受けるためには、一定の条件を満たした適格居住者でなければならない。以下は、日米新租税条約適用前、適用後それぞれにおいて適格居住者となるための定義を示す。

1.

日米新租税条約適用以前(日米新租税条約の適用を1年間延長する選択をした場合を含む)

以前の日米租税条約においては条約の特典制限条項がなかったたため、通常、日本法人は条約の適用を受けることのできる居住者と認められていた。

2.

日米新租税条約適用以後

日米新租税条約の特典を受けるためには、要約すると日本法人は以下の条件を満たさねばならない。以下の(1)に該当する日本法人は条約のすべての特典に対して適用を受けることができる一方、(1)には該当しないが(2)に該当する日本法人はその取得する所得に対して条約の特典を受けることができる。

(1)

(a)

日本法人の主たる種類の株式等が上場・登録銘柄であり、市場において通常取引されている場合、

(b)

日本法人の主たる種類の株式等の50%以上が直接・間接に(a)を満たす5社以下の上場会社に所有されている場合、または、

(c)

以下の要件を満たす日本法人の場合

 

i)

持分保有割合テスト(Ownership Test):日本法人の主たる種類の株式等の50%以上が直接・間接に日本の適格居住者(日本居住者である個人または(a)や(b)に該当する日本法人等)により所有されていること、かつ、

ii)

課税ベース侵食テスト(Base Erosion Test):日本法人の総所得(=総収入−直接費用)のうち、日米以外の居住者に対して直接・間接に支払った、または、支払うべき支出額(有形資産の購入及び役務に対する支出、金融機関に対する借入利子等を除く)が50%未満であること

(2)

能動的事業活動テスト(Active Business Test):

  • 日本法人が日本で営業・事業活動に能動的に従事していること、かつ、
  • 取得する所得が当該営業・事業活動に関連、付随しているものであること

(3)

上記(1)と(2)のいずれにも該当しない場合、米国の権限のある当局が、日本法人の設立、その取得または維持、及びその業務の遂行がこの条約の特典を受けることをその主たる目的の一つとするものでないと認定すること

ただし、後述する配当に対する源泉が免税となるための条件は、(1)(a)、(1)(b)、(1)(c)かつ(2)、または、(3)を満たす場合であり、一般の日米新租税条約の特典を受けるための適格居住者の条件とは異なることに注意が必要である。

3.

適格居住者としての居住者証明書の必要性

日本において条約の特典を得るためには、様式17「特典条項に関する付表」の「2」欄で要求する米国内国歳入庁(IRS)からの居住者証明書の添付を必要とする。米国居住者証明であるForm 6166の発行を受けるためには、IRSにForm 8802(米国居住者証明申請書:Application for US Residency Certificate)を提出して申請しなければならない。一方、IRSは日本法人に対してこのような居住者証明書の提出を要求しない。

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