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ニューズレター(パブリックセクター関連)

2004年9月
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図書館へのPFI手法と指定管理者制度の導入 Page3

3.指定管理者制度とPFI

3.1 指定管理者制度導入の背景

指定管理者制度が導入された理由に「民間のサービス供給能力の向上」と「多様化した住民ニーズに公共が答えつづけて行くことができない現状であること」等があります。そして、その多様化したニーズに応えてえていくために、管理主体を拡大する必要があるので、この指定管理者制度を導入したとされています。この管理主体の拡大によって競争性が高まり、「公共施設の稼働率が向上し」、「利用料金の増加が達成され」、「経費削減に繋がる」という目論見で法改訂が行われました。そして、この背景には、「官から民への流れを加速させること」、「民営化や民間競争の推進を通じて、行政サービスの民間開放の範囲と規模を拡大する」という景気刺激策の目的があると、内閣府の「行政サービスの民間開放の拡大の検討について」(2003年10月17日付)に記載されています。

3.2 指定管理者制度の導入手順

今回の244条の改正では、条例として決めなければならない項目として、「指定管理者の指定の手続き」、「指定管理者が行う管理の基準」、「業務の範囲その他必要な事項」が示されました。また、指定管理者制度の導入手順を示した通達として総行行第87号(H15.7.17)が出されました。この通達には、順番が明確に示されているわけではありませんが、ほとんどの自治体では、第1図のように、通達に例示した内容で、しかも同じ手順で指定管理者の設定を行おうとしています。

第1図 指定管理者制度導入手順


単に、指定管理者を認定し、指定管理者が行った業務の責任を全て公共が取るのであれば、このような手順でよいかもしれませんが、制度導入の目的から考えると、公共が民間の管理によって顕在化するリスクまでとることは適切ではありません。したがって、PFI事業と同様に指定管理者制度においてもその導入可能性調査を実施することが重要です。

第2図は、KPMGのPPPノウハウを利用して導入決定のための調査の進め方を示したものです。このような手順で導入可能性調査を行った上で指定管理者制度の導入を決定する必要があります。

第2図 指定管理者制度導入決定の為の調査の進め方


1.

まず、類似の先行事例の分析と事業に関連する問題点の把握を行います。問題点の把握は事業に関連するリスクにどのようなものがあるかについて調査することも含みます。

2.

次に、この一般的な市場調査で、事業の特徴を理解した上で、当該事業の現状分析と問題点を分析します。分析結果から、一般的な市場調査の段階でカバーしていなかった項目が見つかった場合には、その項目について、再度一般的な市場調査を行います。

3.

そして当該事業の展開の可能性を分析します。当該事業の目的を明確化し、当該事業の事業目標をどのような結果として達成したいのかの概要をアウトプット仕様で策定します。さらに、官民の業務分担とリスク分担等についての検討を行います。

4.

このようにして、明確化した目的や目標をどのような手法で達成することがベストであるかの検討を行います。もちろん選択肢の一つとして指定管理者制度を取り上げれば良いのですが、指定管理者制度にのみ限定する必要はありません。公共直営への変更、PFI事業化、事業の廃止を含めて検討することが重要です。そして、官民の業務分担及びリスク分担によって、責任を明確化する仕組みの概要を構築します。

5.

これらの作業とへ移行して事業の利害関係者が納得できる事業者選定の基準及び選定手順を検討します。選定委員会の組織構成を如何するか、選定委員にどのような業務を委託するか等の検討を行います。

6.

契約期間の妥当性、決定した事業実施手法の実現可能性、資金調達の可能性などを勘案しながら、前述の2番目から5番目までの項目をもう一度調整します。

ある程度の事業の概要が固まった時点で、指定管理者制度の導入が適切であることが確認できた場合には、条例の素案を作成し、素案を公開してパブリックオピニオンを受け付けます。

素案を調整し、議会による議決を行い、指定管理者の公募を開始するという手順を取れば、事業者に合理的に指定管理者制度が導入できる可能性があります。

3.3 世界標準PPPと指定管理者制度の組み合わせ方

図書館のニーズは長期的なもので、民間事業者の支援業務としての規模も一定規模あることから、世界標準PPP事業に適した案件です。指定管理者制度は、期限を決めて管理者の指定を行うものですが、施設には耐用年数があるため、施設の建替えおよび大規模修繕などは避けられません。ここにアウトソーシングの限界があります。ライフサイクルコストを低減させるような管理方法を模索するのであれば、建替えや、大規模修繕に併せて英国型PFIを用いて、施設の不具合リスクを事業者に移転することが有益です。新築の施設に限定する必要はありません。図書館の場合には、分館を持つ場合が多いので、分館ごとに管理者を指定して競わせるのではなく、既存のすべての施設をまとめて(バンドリングして)施設の不具合リスクを事業者に移転することによって、より画期的な事業手法が構築できる可能性があります。

PFI手法と指定管理者制度の関係については、自治画第67号自治事務次官通知(平成15年9月2日の総務事務次官通知で修正)に示されています。必ずしも指定管理者とPFI事業を組み合わせる必要はないことを示しています。

第6 公の施設関係
(中略)

4.

PFI事業により公の施設を整備しようとする場合であって、当該施設の管理を包括的に民間事業者に行わせる場合は、原則として地方自治法第244条の2第3項に規定する公の施設の指定管理者の制度を採用すること。ただし、民間事業者に対して、包括的な委任でなく、例えば下記の諸業務をPFI事業として行わせることは可能であり、また一の民間事業者に対してPFI事業として行わせることも可能であること。その場合にあっては、当該民間事業者については、当該公の施設の利用に係る料金を当該民間事業者の収入として収受させること及び当該料金を当該民間事業者が定めることとすることはできないこと。(地方自治法第244条の2第8項、第9項)


第3図 指定管理者制度導入前


第4図 指定管理者制度導入後


第3図から分かるように、法改正前には管理業務の一部を委託していましたが、それを第4図のように、残りの管理業務と一緒に、指定によって委任するのが指定管理者制度です。PFI事業は、指定管理者制度が導入されるまでは、事業管理業務と切り離されていました。それが、公共の管理業務まで事業者に委任すると、事業者が取れない公共の本来業務に関連するリスクまで含まれてしまいます。PFI事業者には自ら管理できないリスクをとるインセンティブはありませんから、無理に指定管理者制度と組み合わせることは適切ではありません。

もし、それでも、事業者が取れない需要変動リスクを事業者に負わせたとしましょう。そうすると、事業者の請け負った専門性の高い施設の維持管理業務が問題ない業績を上げていたとしても、事業者が管理できない需要変動によって事業のキャッシュフローが回らなくなり倒産する可能性が生まれます。また、反対に本来責任をとらせるべき業務の管理が問題であったために、施設に不具合が出たり、サービスの質が低下したりしたとしても、事業者の専門性に問題があったのかどうかを判断することが不可能となり、結果的に公共がすべてのリスクを負わなければならなくなる可能性が高くなります。このように考えていくと、PFI事業においてPFI事業者を指定管理者に指定することのメリットは公共側にも無いように思われます。

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