
2005年11月
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デューデリジェンス業務において検出された問題点 −デューデリジェンスと売買契約書との関係−
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本稿は、KPMG FAS Newsletter Vol.8(2005/11)より転載したものです。
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前号まで、日本のM&Aで実施されるデューデリジェンスにおいてしばしば発見される検出事項の例についてご紹介してきましたが、本稿では、財務デューデリジェンスの結果判明した様々な事項を、買い手の利益を保護するためにどのように買収条件に取り込み、それをどのように売買契約書に織り込んでいくかについて見ていきます。ただし、本文で提案しているもののうち、価格調整手続については公開買付により買収を行う場合には利用できない点、また、売り手の表明・保証については、取引実行後に売り手に賠償責任を負わせることが何らかの理由により難しいと考えられる場合(例えば、売り手がM&A後に清算される場合)には実効性が低い点について注意が必要となります。
1.売買契約書とは
(1)M&A取引における売買契約書の位置づけ
M&A取引の流れを時系列的に見てみると概ね以下のようになります。
本稿で「売買契約書」と言っているものは、株式買収の形態をとる場合には「株式譲渡契約書」となり、営業譲渡を行う場合には「営業譲渡契約書」となるものですが、ここでは総称して「売買契約書」と呼ぶことにします。
本稿で取り上げる売買契約書とは、上のプロセスの中でデューデリジェンスの後、「調印」の下にあるもので、通常法的拘束力を持たない基本合意書と異なり、法的拘束力のある、当該M&A案件の価格やその他の条件を決定するものを指しています。すなわち、初期評価を行い、基本合意を取り付け、デューデリジェンスを実施すると、買収対象会社(または対象事業)について何らかの有利あるいは不利な事実が判明します。それらの発見事項のうち(ディールブレーカーがあればディールを中止することも慎重に検討した上で)、買収価格に反映させることが可能なものについては反映させ、それ以外の買収条件に織り込むことが可能なものについては売買契約書に織り込むというプロセスに入っていくわけです。
(2)売買契約書に含まれる主な内容
売買契約書は、もちろん、弁護士の主導により作成するものですが、財務に関する事項については、財務デューデリジェンスで検出された事項が売買契約書に適切に盛り込まれるよう弁護士に伝える必要があります。以下では、売買契約書に一般的にどのような内容が含まれ、どの部分が財務デューデリジェンスにおける検出事項と関連してくるのかについて見ていきます。
ひとつとして同じM&Aディールがないのと同じように、売買契約書に含まれる内容も案件にしたがい様々となるものですが、一般的には以下のような項目が含まれます。
1. |
定義 |
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対象資産、クロージング日等、契約書上でキーとなる用語の定義
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2. |
譲渡契約の対象 |
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株式、営業譲渡等
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3. |
譲渡価格 |
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下記「譲渡価格の調整」前の買収価格
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4. |
譲渡価格の調整 |
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評価基準日からクロージング日までの期間の対象資産の価値の変化に基づき譲渡価格を調整する場合、その方法(後述)
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5. |
クロージングの条件 |
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クロージングの前提となる基本的条件(例えば、譲渡対象会社の商業登記簿謄本、印鑑証明書等が売主に交付されていること、本件取引の実現に重大な影響を及ぼす事態が発生、発覚していないこと)、および案件固有の条件(例えば、借入金の返済、出向者の解除)
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6. |
クロージング |
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資産の引渡しおよび譲渡価格の支払方法、その日時、場所等
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7. |
売主の表明・保証 |
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売主の本件取引の実行能力および権限の確認、買収対象事業の営業に関し潜在的債務等問題点の開示およびそれ以外の問題点不存在の確認(後述)
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8. |
買主の表明・保証 |
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買主の本件取引の実行能力および権限の確認
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9. |
クロージングまでの当事者の義務 |
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事業の運営(クロージングまで善良なる管理者の注意をもって、本営業の運営および経営を継続し、営業の価値を維持することに最大限努力する、等)、営業譲渡の場合、契約の承継手続、役員・従業員の承諾取得等
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10. |
クロージング以降の当事者の義務 |
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資産の移転に関わる登記、登録、通知等の手続、クロージング監査における協力義務等
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11. |
公租公課等 |
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対象事業の営業に関する公租公課・保険料等の負担(日割計算によりクロージング日の前日までを売主が、以降を買主が負担する等)
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12. |
補償・損害賠償請求 |
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表明・保証の違反、誤りに関する補償、その期間、金額等
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13. |
解除
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14. |
競業避止
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15. |
その他 |
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秘密保持義務、公表、費用負担、修正・変更、準拠法、未規定事項、等々
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上述の売買契約書の各項目のうち、財務デューデリジェンスの結果が関連するのは主に、3.譲渡価格および4.譲渡価格の調整、ならびに 7.売主の表明・保証となります。
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