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ニューズレター(ファイナンシャル関連)


コーポレートファイナンス

2006年6月
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増加するM&A

ディールマネジメント(案件の進捗管理)上の留意点とM&Aアドバイザーの役割 −

本稿は、AZ Insight(2006.6 Vol.15)より転載したものです。


日本企業の係わるM&A件数が増加傾向にあります。M&Aを実施した後、中長期的に事業を成功に導くために は、買収後のインテグレーション(統合)が肝要であることは言うまでもありませんが、買収プロセスの遂行段階において成否を分けるのはM&Aの「戦略策定」と案件の「推進体制」という2つの要素のコンビネーションです。特に、自社の案件推進体制に不備がある場合、それが「落し穴」となって交渉の成否に影響を与えることが多くあります。本稿では、まず、案件遂行上の成功要件と留意点について考察します。次に、ディールを成功に導くためにM&Aアドバイザーが果たす役割とアドバイザー活用のポイントについて解説します。


I.M&A増加の背景

トムソンフィナンシャルの調査によれば、2005年における日本企業によるM&A件数(公表案件ベース)は2,552件と、前年比23.1%の伸びを記録しました。M&A件数の増加の要因としては、新聞紙上を賑わせた敵対的買収の増加のみならず、公開企業のMBO(マネジメントバイアウト: 経営陣等による買収)を通じた非公開化案件などの活発化や、投資ファンドによる投資機会を求めた競争激化などがあげられます。今後は、企業業績の回復に伴い、事業会社による成長戦略の実現手段としてのM&Aが増加するだけでなく、2006年5月の新会社法施行による組織再編要件の柔軟化、資金調達手段の多様化なども、案件数の増加に寄与するものと見られています。


II.M&A案件のプロセス

M&A案件のプロセスは、個別案件ごとにさまざまなパターンがありますが、一般 的な買収プロセス(相対取引の場合)の基本的取引フローは図表1のとおりです。

図表1■買収プロセスの概要

前述のとおり、買収プロセスは大きく5つのステップに分かれます。以下に、買手企業側の観点から各ステップについて簡単に説明します。

(1)

ステップ1 (プランニング段階)

 

企業グループの事業ポートフォリオ戦略(ステップ0)にもとづき、M&Aの企業・事業戦略における位置づけを明確にした後、かかる戦略に合致する買収ターゲット企業をリストアップし、明確な選定基準にもとづきターゲット企業の絞込みを行います。次に、ターゲット企業への買収の打診にあたり、一般に入手可能な情報にもとづき、提案すべき買収基本条件を予備的に検討します。この買収基本条件とは、買収ストラクチャー(取引形態、買収の範囲、出資比率等)、経済的条件(譲渡価格等)、スケジュールなどを指します。また、必要に応じて買収に伴う効果およびリスク、想定される問題点・課題を洗い出すとともに、その解決策を検討します。

(2)

ステップ2 (イニシャルコンタクトから基本合意まで)

 

ステップ1においてターゲット企業を絞り込んだ後、いよいよターゲット企業またはターゲット企業の株主等(以下、「売手企業側」)に接触し売却意思を確認します。売手企業側の売却意思の確認が取れた場合、秘密保持契約書を締結し、ターゲット企業の事業ならびに財務に係る基礎的情報を入手します。かかる基礎的情報にもとづき、ステップ1で行った買収基本条件をより具体的に分析・検討します。検討の後、買収基本条件を売手企業側に提案し、最初の買収交渉を開始します。交渉の結果、譲渡価格、ストラクチャー等、買収基本条件の合意に至った場合、両者で基本合意書を締結します。

(3)

ステップ3 (買収契約まで)

 

基本合意書の調印後、買手企業はデューデリジェンスを開始します。デューデリジェンスの範囲は、ターゲット企業の財務、ビジネス(生産、販売、マーケティング、購買等)、人事、IT、法務、環境など多岐にわたります。調査の結果、検出された情報をもとに、買収の最終条件について再検討を行い、売手企業側と最終買収契約書(株式譲渡契約書、営業譲渡契約書等)の交渉に入ります。交渉の結果、合意に至った場合に、買収契約書に両者が調印します。

(4)

ステップ4 (クロージングまで)

 

買収契約書を締結後、クロージング(取引の実行)の前提条件の具備、または、クロージングの準備のために必要となる各種手続を行います。各種手続とは、従業員、金融機関、取引先等、ターゲット企業の利害関係者への説明、重要な契約の引継ぎ、事業上必要な許認可の取得、または、公正取引委員会への届け出等を含みます。これらすべての準備が整った後、あらかじめ定められたクロージング日に取引を実行します。

(5)

ステップ5 (クロージング後の手続)

 

クロージング日以降、買手企業側の新たな体制にもとづく事業運営がスタートします。買収契約の条件として、クロージング日現在の貸借対照表の勘定残高にもとづき譲渡対価を修正する条項が定められている場合には、クロージング日における貸借対照表の調査を行い、その結果にもとづき最終的な譲渡対価を確定させ、譲渡代金の精算を行います。

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