トリーティー・ショッピング防止規定(条約濫用防止規定)
Anti-Treaty Shopping Provisions
トリーティー・ショッピングとは、第三国の居住者が形式的に締約国の居住者となること等により条約の特典を濫用することで、これらを防止するために、租税条約には以下のような条約濫用防止規定が含まれていることがある。
- 「受益者」の概念を用いた規定
所得の単なる「受領者」ではなく、真の「受益者」である者に対してのみ条約の特典を与えるため、主に、配当、利子及び使用料の条項において「受益者」という概念が用いられている。
- 特典制限条項
条約の特典を享受できる者又は所得を、一定の要件を満たす者又は所得に限定する規定である。「者」単位で適格性を判定するものとしては、「適格者基準」、「派生的受益基準」及び「多国籍企業本社基準」があり、「所得」単位で適格性を判定するものとして「能動的事業基準」がある。また、いずれの基準も満たさない場合の救済的な措置として、権限のある当局の認定を受ける方法も用意されている。
- 導管取引防止規定
導管取引(条約の特典を利用するため、条約相手国の居住者を経由して、第三国の居住者に所得を支払う取引等)に該当する場合には、その条約相手国の居住者を受益者として取り扱わないとする規定で、主に、配当、利子、使用料、その他所得条項に盛り込まれている。
- 濫用目的防止規定
株式、債権又は無形財産等の移転が、配当、利子又は使用料等に係る条約の特典を受けることをその主たる目的の全部又は一部として行われた場合には、その配当、利子又は使用料等に条約の特典を与えないことを定めた規定である。
日本においては、2004年に発効した日米租税条約を契機として、これらの条項を盛り込んだ租税条約への改正が近年増加している。