平成18年5月1日より施行の新会社法は、「会計参与」という株式会社の新しい機関を導入しています。これは、主に中小会社が作成する計算書類の記載の正確さに対する信頼を高めることを目的としたこれまでのわが国での学会・関連士業団体の議論を止揚する形で立法化された制度です。
制度的には会社の規模や委員会等設置会社であるか否かに係らず、すべての株式会社は定款をもって「会計参与」を置くことができるとされていますが、現実には株式の譲渡制限のある非公開会社で取締役設置会社が監査役を選任しない場合において唯一の可能な選択肢として選ばれるケースに限定されるものと考えられます。会社法では326条から347条まで、ならびに374条から380条に集中した規定が設けられています。
会計参与は役員ですが、公認会計士、監査法人、税理士、税理士法人という会計関連の専門家が就任することを前提とし、株式会社の内部的な機関でありつつも、内部の他の機関に従属することなく、計算関係書類の担当取締役(あるいは執行役)との共同作成、それに関わる株主総会での説明、計算関係書類及び自ら作成した会計参与報告書の備え置き・開示職務を果たすことで、作成者側に参加しながら、取締役だけの場合による計算関係書類の虚偽記載や改ざんを抑止し、ひいては計算関係書類の記載の正確さを担保しようとしているわけです。また会計参与は、会社または子会社の取締役、執行役、監査役、会計監査人、使用人を兼ねることができず、株主総会において選任され、任期や報酬については取締役と同様の規律に従います。
会計参与を設置した旨及び会計参与の氏名、または名称を登記します。
以上のように監査役に代わるような存在として導入された会計参与ですが、計算書類等の適正担保の手法が監査役とは異なり、自ら作成する側に回ることで、経理能力に不足がちな中小企業における計算書類の実質的な質の向上を図るという点にユニークさがあります。他方、専門家業務として会計参与に取り組む場合、その職務・責任の重さは生半可な対応で担えるほど軽いものではなく、資格者・会社側双方で会計参与の積極的選任に躊躇する傾向が続くものと予想されます。