経営品質とは、企業が生産し提供する製品やサービスの品質だけでなく、企業が長期にわたって顧客の求める価値を創出し、市場・社会での競争力を維持するための「経営自体の仕組みの良さ」のことを指します。1980年代後半、米国が産業競争力を失っていた頃、レーガン政権が国家プロジェクトとして米国国家品質賞(いわゆるマルコム・ボルドリッジ賞)を創設し、日本企業などをベンチマークした結果を、経営品質のフレームワークに整理して米国企業に積極的に推奨したことが経営品質の概念を注目させるきっかけとなりました。日本では、バブルの崩壊で競争力に陰りが生じた頃、米国のマルコム・ボルドリッジ賞に倣って1995年に「日本経営品質賞」が創設され、その内容も度々アップデートされています。
米国が日本企業を中心にベンチマークを行ったなかで、日本企業の弱点として注目した点は以下のような点です。
このようなポイントから、マルコム・ボルドリッジ賞では経営品質向上のためのフレームワークを提示しました。日本経営品質賞もこれに倣い、「顧客本位」「独自能力」「社員重視」「社会との調和」の4つの要素から構成される「基本理念」と、「クオリティ」「リーダーシップ」「プロセス」「知の創造と活用」「時間とスピード」「パートナーシップ」「フェアネス」といった「重視する考え方」をもとにした8つの要素からなるフレームワークを整理しています。
要は「経営品質の向上=儲かる経営の仕組みをつくること」であり、「経営ビジョン」を明確にし、会社全体で共有化を図ること(ドメイン・顧客の定義など)、「経営ビジョン」を実現するために、どのような「強み」(独自能力)が必要か明らかにすること(「弱み」も認識する⇒事業リスク分析そのもの)、「経営ビジョン」を実現し、「強み」(独自能力)を高めるために「自らが学習する組織」の仕組み(PDCAサイクル)を作り上げることが大切です。その意味で、PDCAサイクルというマネジメントシステムという点では、「内部統制」と類似する概念であり、多少視点が違うものの、フレームワークの観点から企業の仕組みを整え、業務の効率化・中長期的利益体質の向上を図る点では共通する考え方といえます。
<参考文献>
加護野忠雄(監修)、関西生産性本部(編著):
『経営品質向上プログラム』、ダイヤモンド社、2003年。