経営計画の実行や諸課題解決に際して、プロジェクトの形態を採用する組織が増えてきました。プロジェクトの形態を採用したほうが、所与の目標達成に向け、機動的に経営資源を活用できるメリットがあるためです。一方で、個別プロジェクトの成功を重視するあまり、プロジェクト間の整合性が確保されない、経営資源の配賦にアンバランスが発生するなど、必ずしもプロジェクト形式活用のメリットが十分に享受できていないケースも散見されます。
こうした問題を解決するために生まれた考え方が「プログラムマネジメント」です。ここでいうプログラムとは、「組織の中長期的な目的・戦略を達成するための活動(群)」のことであり、具体的には組織戦略にもとづき個別のプロジェクトの位置づけや目的を明確にしたうえで、それらを有機的に結び付ける活動(群)のことです。そして、プログラムマネジメントとは、この「プログラム」全体を成功へと導くための統制活動全体を意味します。
PMO(Program Management Office)とは、プログラムマネジメントを執行する組織体です。PMOは複数のプロジェクト間の整合性を確保しつつ個別プロジェクトを成功へと導くだけでなく、組織全体の最適化を果たすために不可欠な機能を担います。具体的には、プロジェクト間の優先順位づけや資源配賦の決定、プロジェクトの追加や中止の意思決定、およびプロジェクトの監視・統制・支援など、広範囲な機能にわたります。
大規模な組織では、大小含め100を超えるプロジェクトが実施されている事例も少なくありません。このように複数プロジェクトが運営される環境では、組織全体のプログラムに対する最適な経営資源の配賦と統治を果たす機能を担うPMOが特に重要な鍵を握っています。
なおPMOは、「Program Management Office」と別に、「Project Management Office」を意味する場合もあります。この場合のPMOとは、『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド 第3版』によると「管轄するプロジェクトを集中的にまとめて調整するマネジメント活動のさまざまな責任が割当てられた組織体」と定義されています。
PMOの実効性を向上させるためには、いくつかの課題が存在します。
KPMGが行った国際調査『2005グローバルITプロジェクトマネジメントサーベイ』では、経営幹部がPMOをどう評価しているか聞いてみました。
この結果、ほぼ半数が「有益」と評価していますが、「効果には懐疑的」とする回答も15%程度ありました。PMOを中立的または否定的に受け止めている組織(26%)の多くは、以下の点を導入における障害要素として挙げています。
<参考文献>
Project Management Institute(著)、PMI東京支部(監訳):
『プロジェクトマネジメント知識体系ガイド 第3版』、Project Management Institute、2005年。
KPMGビジネスアシュアランス:
『グローバルITプロジェクトマネジメントサーベイ』、2005年。