最近の経済動向や規制緩和の傾向に伴い、新たな営業拠点を求めて日本に進出してくる本店を海外に持ついわゆる外国会社は増加傾向にあります。反面業績不振や人員コストの削減等の理由により日本市場より撤退する外国会社も少なくありません。そのような外国会社の日本支店を設置・廃止する場合は他の国内企業と同様、登記が必要になります。以下、本邦支店廃止の場合の手続きについて説明します。
支店廃止は日本における支店閉鎖と全ての代表者退任の手続きに分けられます。それぞれは概ね以下の手順を踏む必要があります。
以下が登記に必要な書類です。
外国会社は、準拠法として本店所在地あるいは近隣地の本国法に基づいて設立されているために必ずしも日本の内国企業と同様の機関や合議体を持たず、作成された議事録等の書類が我が国の法律で求められる要件を満たさなかったり、現地の言語で議事録等を作成しているために訳文の作成に多くの労力と時間を要したりすることがあります。そのため登記実務上「宣誓供述書」を添付して外国会社のわが国での登記事項の申請を行う方法が認められ、一般的に広く行われています。
「宣誓供述書」は宣誓供述を行う者が自発的に自分の知りえた事実を書き記し、大使館の係員や本国の公証人の面前でその記載内容が真実であることを宣誓したうえで署名し、宣誓を受ける権限を有する者が同一人であること、確かに本人の供述であることを確認の上、認証文や印章を添付したものです。
外国会社が日本支店を閉鎖する場合、上記の宣誓供述書の取得のほかに、「日本における全ての代表者の退任公告」を掲載する必要があります。公告掲載日の翌日から1カ月の異議申立て期間を経なければ日本における全ての代表者の退任登記を行うことはできないので、期間について比較的余裕をもった計画を立てる必要があります。尚、官報による公告は、代表者の具体的退任日の決定や宣誓供述書の取得の前に申込をすることができます。
日本における支店が閉鎖されても、外国会社の日本における営業は、日本における全ての代表者が退任しない限り、代表者個人が継続可能なため、登記の閉鎖ができないことになっています。逆に、日本における全ての代表者が退任する場合、日本における支店は自動的に閉鎖されます。登記実務では、日本における全ての代表者の退任の登記が申請された場合は、その登記申請日および登記の閉鎖日のみ登記簿に記載され、登記事項ではない支店閉鎖日や日本における全ての代表者が退任した日付が記載されることはありません。そのため、税務上の申告等で支店閉鎖日を証明する必要があれば、履歴事項証明書ではなく、支店閉鎖日を記載した宣誓供述書を使用することが適切でしょう。
既に述べたように通常の登記実務上、支店閉鎖日は記載されることなく登記簿は閉鎖されます。そこで税務申告やその他の目的のためにどうしても登記簿に支店閉鎖の日付を記載する必要がある場合は、(1)支店閉鎖、(2)日本における全ての代表者退任、の二段階に分けて登記を行う必要があります。支店閉鎖の日付が先に来るため、商号や日本における代表者と並んで代表者退任の公告に記載すべき外国法人の日本における所在地は、代表者の住所地になりますのでご注意ください。
以上見てきたように、支店閉鎖と日本における全ての代表者の退任の手続きは、その時期や内容によって登記終了までの期間や手順が異なりますので、司法書士等の専門家とご相談のうえ、適切な準備をされることをお勧めいたします。